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衣服と静電気の関係について

seidenki.JPGスカートが脚にまとわりついたり、黒いウールのコートに白い毛やゴミがついたり、セーターを脱いだ時にパチパチと痛い思いをしたりなど、特に冬場に起こり易い現象に静電気があります。
このページでは、何故静電気が起きるのか?や出来るだけ静電気を起こさず心地よい衣生活を送る為のコツを解説します。

そもそも「電気」と「静電気」の違いって?

「電気」というのは、電灯をつけたり何らかの動力機械を動かしたり出来るエネルギーです。エネルギーというのは「力(ちから)」という言い方に代えられますが、この力が電力といわれるもので「電流(A)アンペア」×「電圧(V)ボルト」で表します。電圧は電流を流そうとする働きで、実際の電気の流れる量そのものが電流ということになります。
水に例えると、電流が「流れる水の量」で電圧が「流れる水の高さ」というイメージです。

さて、そこで一般的な「電気」と「静電気」の何が違うのかというと、2つポイントがあり、1つは電流の大きさに違いがあります。静電気は普通の電気の数千分の1~数万分の1程度しかありません。

そして、もう一つの大きな違いとして電気を通さない物質、つまり絶縁物に対する性質で、普通の電気は絶縁物の中を通らず、溜まることもありません。
ところが、静電気は絶縁物の中でもしだいに電気が溜まる性質を持っています。
ちなみに、身近な絶縁物というのは、例えば、空気やゴム、ビニール、プラスチックなどが挙げられます。そして、一部の衣服の繊維もあてはまりますし、何より人体も該当します。

冬に静電気を発生させ易い理由

では、静電気は何故、夏場はあまり起きず冬になるとよく起きるのでしょうか。実は実際には夏場でも静電気は起きていますが、感じることはありません。
理由は2つあり、気候の影響と衣服の着用状態に原因があります。
乾燥のし過ぎ
具体的に気候の影響とは、冬になると湿度が低く乾燥します。つまり、空気が乾燥し静電気が物質に溜まりやすい状況になってしまっているのが原因です。
夏のように湿度が高いと、空気中の水分が高く物体の吸着水分量も高くなります。すると、静電気はそうした水分を通って緩やかに放電されます。つまり、冬は乾燥し水分が不足していることから、放電されず物体に静電気が溜まってしまうのです。
様々な繊維品を重ね着し過ぎ
またもう一つの原因が、冬になると様々な素材の衣服を重ね着する機会が多くなります。
夏であれば、綿のTシャツや麻素材のシャツなど素材も1、2種類ぐらいで済みましたが、冬になると合成繊維も加わり、比較的様々な素材を着る機会が明らかに多くなります。
更にそれら衣服を重ね着するということは、摩擦を多く発生させることになります。
そのようなことから、多種の素材を重ね着して、摩擦を発生させることが冬に起きやすい原因のもう一つの理由です。

静電気が発生するメカニズム

では、静電気がどのようにして発生するのかについて解説します。
物体には普通、プラスの電気とマイナスの電気が同量ずつ含まれており、互いにその作用を打ち消しあって全体としては電気の作用がない「電気的に中性な状態」となっています。
ところが、2種類の物体を擦り合わせたとき、一方の物質から他の物質に電子が移動し、その分だけマイナス電気あるいはプラス電気が多くなります。この状態を「帯電」といい、更にいえば「静電気が帯電している状態」となります。
そしてここからが重要なポイントになりますが、静電気がプラスに帯電するか、マイナスに帯電するかは擦り合わせる物体の組み合わせに左右されます。繊維はその種類によってプラスに帯電するのか、マイナスに帯電するのかが研究によって分かっており、その相対関係の分かる図が下にあります。

seidenki_taidenchart.jpg

この図を元に結論を先にいうと、擦り合わせる物体(素材)の位置が離れているほど強い静電気が発生します。
例えば、ポリエステルのシャツの上に羊毛のセーターを着用し、脱衣時にパチパチと強い静電気を感じだことがありませんか?プラスとマイナスが対局にある組合せである為、強い静電気が発生したのです。
セーターとシャツで起きていることをもっと細かく見てみましょう。

セーターの状態
羊毛のセーターがポリエステルのシャツと擦れると、セーターの方のマイナスの電子がポリエステルのシャツに移動します。すると、セーターの中にはマイナスの電気が少なくなり、全体として電気はプラスになります(←プラスに帯電)。

シャツの状態
逆にポリエステルのシャツは、マイナスの電気が多くなるので、全体として電気はマイナスになります(←マイナスに帯電)。

静電気の放電
プラスの電気とマイナスの電気にはお互い引きつけ合う性質があります。
プラスに帯電した羊毛のセーターとマイナスに帯電したポリエステルのシャツの間にある小さな空間を電子が飛びセーターとシャツに溜まった静電気が放電され(←火花放電)、パチッという音と共に刺激を感じることがあります。

静電気を防ぐ方法

では、静電気によって不快な思いをしないよう、静電気を防ぐ方法はどのようにしたら良いのでしょうか?
帯電列を参考にした組合せにする。
まず心掛けておきたい事は、先ほどの帯電列を参考に性質の近い素材を組み合わせて衣類を着ることです。
例えば、プラスに近いナイロン素材のダウンジャケットの中には、同じくプラスに近い羊毛(ウール)素材のセーターを着ると静電気を抑えることが出来ます。これが、例えばマイナスに近いアクリル素材のセーターを着ていると、ナイロンとは対極にある為、静電気が起きやすいです。このように衣類の組み合わせに気を遣うと良いでしょう。
市販の静電気防止剤を使う
衣服にスプレーするだけで一時的に静電気の発生を抑えられる便利なスプレーが市販されています。
例えばナイロンのストッキングをはいて、ポリステルのスカートを着用しているとまとわりついたりしてしまいますが、静電気防止スプレーを外出前などにふきかけておくと、一定時間心地よく過ごすことが出来ます。
クリーニング店に帯電防止加工をお願いする
セーターなどをクリーニングにお願いする際に、ついでに帯電防止加工をお願いしておくのも良いでしょう。効果は永久的に持続はしませんが、少しでも帯電抑制出来ます。
新品の物は1回洗濯するかクリーニングしてから使用する
例えば、新品でウール使用のグレーのストールを黒のウールコートに合わせると、同じ帯電列であってもストールの毛がコートに付くことがあります。新品のストールなどは一回やさしく洗濯するかクリーニングにお願いしてから使用すると少し落ち着くことがあります。
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