化学繊維は、自然界において存在している「天然繊維」とは逆に、人工的に作られた繊維を指します。
また、化学繊維は、大きく①再生繊維・②半合成繊維・③合成繊維に大別することができます。
ここでは、合成繊維に属する「ナイロン」についてご紹介します。
普段耳にする機会が多い「ナイロン」
私たちにとって身近な繊維で、普段耳にすることも多いナイロン。
それは、私たちの身の周りにたくさんのナイロン製品が存在していることを表しています。
例えば、レジ袋が有料となったことをキッカケに持つ人が増えたマイバッグや、キャンプ・トレッキングの際着用されることが多いジャンパーやレイングッズなどが挙げられます。
この他にもファッション小物や各種部品まで、ナイロンは私たちの生活のあらゆるところで大活躍してくれています。
ナイロンとは、どんな繊維なのか
ナイロンは、主に石油などを原料として生成される「合成繊維」です。
1938年に工業化されたころ「石炭と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、蜘蛛の糸よりも細く、絹糸よりも弾力があり、光り輝く繊維」というキャッチコピーが付けられていました。
このキャッチコピーからも、当時大きな期待を持たれた画期的な開発であったことがわかります。
円形の場合
繊維の断面は主に円形、側面は滑らかで光沢があります。繊維の断面の形は、生地になった時の光沢や風合いに大きな違いを出します。
円形以外の場合
キャッチコピーにもある通り、ナイロンは絹を模して開発された繊維でもあったため、より絹に似た風合いやしなやかさに近づける目的で、断面をL字型にするなどの検討も行われました。(絹の断面はこちら)ナイロンに限らず、合成繊維は目的を持って人工的に作られた繊維のため"長所"が明確であると言えます。ではナイロンの"明確な長所"には、何が挙げられるでしょうか。
ナイロンの特徴
実は衣服用のナイロンには、"ナイロン6"と"ナイロン66"の2種類があります。
どちらも大きな違いはありませんが、ナイロン66は耐熱性に優れ、ナイロン6はコスト的に有利です。そのため、日本で最も生産量が多いのはナイロン6と言われています。
長所
- 軽い(繊維の中では最高クラスの軽さ)
- 摩擦に強い・弾力性に富みシワになりにくい(折曲げにも強い)
- 乾くのが早い
- 薬品や油に強い
- 虫やカビに強い
- 染色性がよい
短所
- 紫外線により黄変し、強度が低下する
- 吸水性や吸湿性がないので、発汗時にベタつく
- 静電気が帯電しやすい
- 熱に弱い
合成繊維と言っても、もちろん短所もあります。
しかし、短所である「吸水性や吸湿性の低さ」は、言い換えると「乾くのが早い」という長所でもあります。
商品は繊維の長所を生かして製品化されるため、ナイロンが持つ多くの機能性とナイロン製品の数は比例すると言えるでしょう。
ナイロンのお手入れ
短所でも紹介しましたが、ナイロンの大敵は「紫外線」です。良い天気の日は洗濯物を外に干したくなりますが、ナイロン製品は直射日光には当てず、室内や日陰で乾かしましょう。ナイロンは乾くのが早いので、室内干しでも短時間で乾きます。
また、もう一つ気を付けなければいけないのが「高温」です。
ナイロンは耐熱性が低いためタバコやストーブなどの高温物は、たとえ接触していなくても近づいただけで溶けてしまうことがあります。
うっかりしがちですが、アイロンの温度も同様です。"アイロン可"の洗濯絵表示がついていたとしても、アイロンの設定は低温にしましょう。
ちなみに、耐熱性の低さは合成繊維全般に言えることです。ナイロンだけでなく、合成繊維のお手入れは「高温」に注意が必要です。